強すぎる思い込みがうつ病を招く!?

一般的にいって、人は「自分は正しい」と思いがちです。そうでなければ、会議などで意見を述べたり、状況を判断したりなどできません。でも、自分と違う考え方に出会ったとき、それに耳を傾け、相互理解の努力をすることで、世の中は成り立っているのです。

ところが最近、他人の声に耳を傾けることができず、自分の正しさにこだわり続けてしまう人が目立ちます。そういう人たちは、誰が何をどう言おうと、自分の考えに凝り固まって動こうとしません。しかも、自分の意見の一部に反対されただけで全否定されたと思い込んでしまったり、任された仕事はどんなに時間がかかっても完璧にやるべきだと決めつけたり…といったように、自分で自分を追い込んでしまうのです。

また、「こうに違いない」「こうすべき」という思い込みを頭の中でグルグルと何度も繰り返し、強化していく傾向があります。こうなると、心に余裕がなくなります。脳の機能も低下し始め、うつ気分・不安感・睡眠の乱れなどが生じます。そのような状態が悪化していくと、強迫性障害うつ病を発症するケースも少なくありません。

偏った思考を整える認知行動療法

こうした状態を改善する対策のひとつとして、現在注目されているのが、認知行動療法です。認知行動療法とは、思い込みや勘違いなどから生じた偏った思考パターンを学習によって正していく精神療法で、うつ病強迫性障害パニック障害などに対して有効です。認知行動療法では、「ある状況で不安になったり落ち込んだりするのは、その状況そのものが原因ではなく、それを自分がどう解釈しているかによる」という考え方が前提です。

つまり、凝り固まった考えに捉えられてグルグルと偏った思考の渦に入りそうになりそうになったら、意識的に考え方を変えてみるというものです。カウンセラーなど専門家のサポートのもと、クライアントさん自らが積極的に取り組んでいくことができます。

企業のストレス対策にも有望視

認知行動療法は、欧米では非常にベーシックな精神治療方法のひとつですが、日本では導入が遅れていました。しかし、近年は、病院での治療はもちろん企業のストレス対策などにも活用されるようになっています。過日、この認知行動療法について、日本における有数な研究者・臨床家の1人として知られる原田誠一医師のお話を聴く機会がありました。もちろん、認知行動療法自体は以前から知っていましたが、原田医師の話をうかがって認識を新たにし、なるほどと思うことも多々ありました。当カウンセリングオフィスでも、今後は積極的に活用していけたらと思っています。

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