春は、新生活が始まる時期です。入学や入社、異動など、役割や立場が変化する時期でもあります。こうしたライフスタイルが大きく変わるときは、実は、人間にとってはピンチでもあります。
たとえば、進学、栄転、引っ越しなどは、嬉しさを伴い、緊張だけでなく心が高ぶる状態のため、疲れに気づきにくいものです。しかし、こうした自律神経の交感神経優位が続くと、緩める働きの副交感神経が働きにくくなり、脳を休める睡眠や休息がとりにくくなります。こうした変化やストレスが1カ月程度経ったGW頃に、疲れ、だるさ、意欲の低下が現れるのです。まるで、これ以上無理を続けないようにと、私たちにシグナルを鳴らしているようにも思われます。
この警告を受け止め、体調管理をすることが、あらゆる病気への予防ともなるのではないでしょうか。不調や気分の沈んだ状態が長引いている人は、我慢せず、早めにカウンセラーにご相談ください。もちろん、現在お薬を飲まれている方も、医師と相談のうえお出でいただければと思います。
1995年、臨床心理士資格取得。国立病院児童精神科技術研修生を経て、公立教育相談室で小学生から高校生までの児童・生徒を中心に10年以上相談活動を続け、その後、成人の精神衛生に相談活動を移す。家族関係や身体不調の背景にある、生きづらさのメッセージを読み取ろうと研鑽を積み、医療関係者や関連機関とも連携を図って来談者がより生きやすい生活が送れるよう心がけている。